第1章 起業家に必要な「共感」とは何か?
共感については様々な受け取り方がありますが、ここでは、ビジネスにおける共感を「価値観の共有から生まれる感情」と定義しています。
つまり、ビジネスという価値を生み出すために、社会や顧客、そして起業家自身の価値観を整理し、重ね合わさったところから生まれる気持ち(感情)に意識を向けていくことが大切なのです。
仕事に感情を持ち込むなという時代は終わりました。むしろ、ビジネスでは共感が必要だと誰もが感じている時代です。価値観や感情について理解を深め、心構えをしておくことができれば、むやみに否定したり怖がる必要はないのです。
その上で、さらに重要な視点があります。それは、顧客や社会の共感を支えることが、ビジネスの目的の一つでもあるということです。応援された結果、ビジネス自体がさらに応援される。そうした、共感がめぐる循環をどのようにイメージしデザインしていくかが重要なのです。
ビジネスにおいて共感はゴールではなく、売上を上げるための手法でもありません。多くのビジネスでは、顧客を集める手段として扱われていることで共感への誤解も生まれています。
まずは、顧客とどのような関係をつくりたいのか、その中で共感をどのように位置づけるか、育んでいくかについて、あなたの方向性を確かめ、理解を深めていきましょう。
ビジネスと共感が一緒に語られると、ソーシャルビジネスや社会起業家のように感じられるかもしれません。しかし、すべてのビジネスは顧客や社会の共感で支えられています。共感は、どんな起業スタイルにも必要なものであるという例を挙げて解説していきます。
1章の見出し
- 1章 起業家に必要な「共感」とは何か?
- ビジネスは「共感」から始めよう
- 損得で始めるより、共感で始めよう
- より良い社会をつくろう
- 共感が伝播する、ビジネスの物語
- ビジネスの役割と共感
- 共感が生まれる感情は、複雑な組み合わせ
- 共感という言葉の種類
- 感動と感銘と共感
- 「心の共感」「頭の共感」のバランス
- 共感は、リアクションがあるから深まる
- 心を扱う時の心得
- 共感が育まれる5つのステップ
- 脳の共感特性
- 同じ共感でも、感じ方が違う
- 正解のない時代、人が頼りにする共感
- 共感はあらゆる起業スタイルに必要
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― ひとり起業/個人事業主/フリーランス
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― 事業拡大
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― スタートアップ
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― グローバル起業
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― NPO/NGO/ボランティア団体
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― 地域起業/地方移住起業
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― 社内起業家/イントラプレナー
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― 第二創業、事業承継
- ―共感はすべての起業スタイルに必要― 連続起業家